技術
2011年3月9日
要求定義と要件定義と要求分析の違いを調べてみた
気になったのでいろいろ調べてみましたが、結論から言うと、工程の名称としては「要求分析」、要求や仕様を整理した文書に「要求仕様」という言葉を使うと理解しました。
「要求定義」とは、要求分析を行った結果一つ一つを言葉として定義していく要求分析の中の一工程と理解しました。
そして「要件定義」という言葉は、使うのであれば、要求仕様を基にあくまでシステムに必要な要件を定義したものと理解しました。
以下になぜこのように理解したかを説明します。
まずGoogleで「要求定義」と「要件定義」と「要求分析」を調べてみると、要求定義は約113万件、要件定義は約219万件、要求分析は約218万件。
件数は「要件定義」の方が多いです。
次に「要求定義 要件定義」で調べてみると、約15.9万件。
「要件定義 要求定義 違い」で調べると約3.75万件。
ほとんどなくなってしまいました。
次に要求定義・要件定義の説明をそれぞれいくつか見てみましたが、大体内容はどこも似たり寄ったりで違いはありません。
そしてGoogleで調べると要件定義という言葉が検索件数として一番多いのでこれが正しいのか?と思いましたがいまいちすっきりせず。
しかし、ここでひらめきました。
ソフトウェア工学レベルで調べてみたら体系的に説明されているのでは?ということです。
そうして調べてみると、なんと「要件定義」と言う言葉は使われていません。
使われているのは要求分析(Requirements analysis)・要求仕様(Requirements Specification)・要求定義(Requirements Definition)などです。
Wikipediaで「要件定義」という言葉が出てこないことが納得です。
ではなぜ「要件定義」という言葉があちこちで使われているのか・・・ということですが、これは推測がつきます。
言葉の定義が明確にされずに適当に使われ、それが広まってしまったからでしょう。
ソフトウェア開発工程において、システム仕様書・基本設計書・詳細設計書などの「○○書」という書類がたくさん出てきますが、要件定義というのは、これら定義があいまいな用語の一つということなのでしょう。
まあここまで用語がばらばらになってしまっては「要求定義」「要件定義」のどちらが正しいかと言ってももはや正解は出せないのでしょうが、どうもこういうあいまいなところは日本のシステム開発レベルの低さを物語っているようです。
要件定義要件定義と言って、『システム』の仕様をかっちり決めることばかり考え、『顧客』の要望を組まないシステムが多い現状は、これらの言葉を考えてもなるべくしてなったと思います。
顧客の要求を正確に抽出・定義し、それをもとにシステム化する要件を整理して出来上がたシステムが増えてほしいものです。
最後に、今年になってもこのような記事が普通に掲載されている現状が残念です。
■RFP/要件定義/要求仕様—違いは明確?(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20110202/356761/
ITproに記事を書くレベルの人でさえ自分独自の定義でしか使っていなく、かつ結論もあいまい。
まさに現状そのものです。
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